■4.高層マシンションは住居として相応しいのか?
ここ7~8年前から地上60m(20階以上~47階)を超える,いわゆる超高層マンションと言われるマンションの建設が盛んに行われ、最近では高層マンションは首都圏の新築マンション全体の10%を越え、都内だけを見ると15%を超えています。このうち20階以上にある“超高層住戸”は1万6,917戸有ります。(2003年国土交通省調べ)

更に23区に限定すると25%を超える状況まで迫っており、これは23区の新築マンション全体の1/4以上が高層マンションということになります。これから計画されている物件も多く、都心は高層マンション花盛りです。

ロケーションと階数によっては眺望も良く都会生活の醍醐味を満喫できて、価格も手ごろな超高層マンションは人気があり、あまり苦労もせず売れているようですが、果たして買主はそのデメリットを理解して買っているのだろう?と言う疑問が頭をよぎります。

超高層マンションのデメリット。

①(火災)
超高層マンションは当然火事になっても消防車の梯子は届かないし、消火用のホースも届かない。一旦火事になれば、頼りは室内のスプリンクラー(散水設備があれば)と防火防煙扉だけです。後はヘリコプターで消火剤を撒くだけ撒いて、燃える物が尽きるのを待つと言う事になります。防火防煙扉はちゃんと閉まると言う前提で作られていますが住民が荷物を周辺に置いていたりするとしまらなくなります。それとガス爆発を伴う火災には側壁やスラブが耐えられない場合が出てきます。そのときは大惨事を加速させる結果になります。

②(地震)超高層マンションの建築工法は1.SRC(鉄骨鉄筋コンクリート) 2.鉄骨工法 3.RC(鉄筋コンクリート)の3工法です。この中で特に問題になるのはRC工法です。本来超高層地上60m(20階以上)超の建物の工法として一番強度的に強くて信頼が出来るのがSRC(鉄筋鉄骨コンクリート工法)ですが、コスト面で一番高くついてしまうのでRC(鉄筋コンクリート)で済ませてしまう場合が多くなってきています。なぜRC工法が問題かと言うと、設計段階で構造計算してスパンの長さ、梁や柱の太さ、中に入れる鉄筋の本数形状を計算していきますが、あくまで計算上の構造計算でありますので現場レベルで構造計算上の部材が正確に適材適所に配置されていて本来の構造上の強度が出るのです。ところが阪神大震災(1995年1月17日)以降全国で新幹線や国道の橋脚を調査したところ、設計時(構造計算)の強度を保っておらず、補強や、やり直し工事が全国いたるところで行われたのは記憶に新しいところです。 なぜこういう結果になったか?

国の指導の元に行われた工事ですらこの有様です。なので民間企業が事業主になった超高層マンションでは構造計算を緻密にやろうがRC(鉄筋コンクリート)造でされた建物の実際の強度などは構造計算通りに出ていると思う方がおかしいのです。民間企業は絶えずコストダウンを要求されますので上記の国道の橋脚や新幹線の橋脚以上に厳しい予算の中での建築をする事になります。そんな建物は設計時の構造計算した強度が想定耐久年数を保てないという事は自ずから導き出される答えです。主な原因は骨材と呼ばれる砂と砂利にあります。つまりアルカリ骨材反応と海砂問題であります。

まずアルカリ骨材反応と言うのは、コンクリートの中にあるアルカリイオンと特定の砂利の中にあるシリカやドロマイト等が科学反応を起こし、膨張しコンクリートにヒビを入れ、著しく強度を損なうというものです。、海砂問題は鉄筋コンクリートに適していると言われている川砂は年々採掘される量が減っており、1㎥当たりの値段が上昇していますので、一定割合海砂を水で洗った砂が混ぜられているのでセメントの中性化が予定より進んでしまい中の鉄筋が錆びて膨張しコンクリートの強度を弱めると言うものです。

その他にエフロレッセンスと言う現象もRC建築物を劣化させる現象として要注意です。これは主に骨材である砂や砂利の周辺成分がコンクリートの中の水酸カルシウムと反応してコンクリートの外側に白いツララ状の物を生じさせたり、鉄筋の被りが浅かったり、外壁のジャンカー(空洞の巣)から水がしみこんだり、屋上の防水機能が不十分な場合等で、コンクリートの中に水が染み込んで中のカルシウムを溶かし出し、空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)と反応し白い鍾乳物質を生じさせる状態です。、この状態で放置しておくと、コンクリートの中性化が急激に進み、中の鉄筋が錆で膨張してコンクリートが割れ出し構造体にダメージを与える事になります。骨材の質が悪かったり、鉄筋の施工ミスや施工上の精度が低かったりするとこういう現象が現れます。

以上の点で構造計算上は震度6~7の地震に耐えられる構造になっていても、実際は地震が起きてみないと分からないという超高層建築物は多いのです。

建築基準法施行令の建物に要求される耐震性能の考え方は次のとおりです。

つまり、たとえ関東大震災級の大地震が起きても、超高層マンションは、柱・梁、壁面などにひび割れが生じることはあっても、マンション自体は倒壊しないように設計・施工されている。だから人が震度6~7の地震が来てもマンションの下敷きになることはない。

となっていますが、実際はまともに建てたRC超高層マンションでも震度6~7の本震があり、その後の余震で震度5程度がしばらく続くようですと、RC超高層マンションはダメージを徐々に蓄積して、余震が収まる頃にはもはや住居として機能しない構造物になります。RC建築は構造体にX印の大きなひび割れが生じると中の鉄筋が大きなダメージを受けている恐れがありますので、そうなると役所から危険建築物の指定を受け、退去命令が出されます。そして住民は立ち退くしか道がなくなります。その後には35年で組んだ住宅ローンだけが残ると言う訳です。これが手抜きマンションなら更にひどい状態に成るでしょう!

建物構造上超高層建築にはSRC(鉄筋鉄骨コンクリート)の建物が一番強く信頼性があります。その工程は鉄骨で骨組みを作り、その周りに鉄筋を配筋し、その後コンクリートを打設するという大変手間と材料の掛かる工法です。しかしこれは万が一の為の備えの工法であり、地震や火事のあらゆる災害において一番強い工法なのですが、コストの兼ね合いで超高層マンションをRCの作りとするマンション元売が多いのです。これは万が一の時の安全より、コストを押さえ利益を確保しようと言う住民軽視の企画で有るのは言うまでもない事です。

まとめ
超高層マンションはSRC以外は買わない。検討しない。 

3(メンテナンス)

超高層マンションは階数が多いために高速エレベーターを6基~10基備える事となります。階数の多いエレベーは定期点検等のメンテナンスに多額の費用と時間を要す事は言うまでも無いのですが、それ以外でにも、高層マンションは給電施設、排水管や給水施設には特殊な設備が多く使われており、それが将来古くなって補修するときに多額の費用を要する事はあまり語られていないところです。15年後には修繕積立金が新築時の5倍~8倍に跳ね上がるなんて事も余り珍しい事では無いでしょう。その他以下に超高層マンションのデメリット列挙します。

エレベーターの問題! 超高層マンションの場合、高速エレベーターが設置されているはずですが、朝の出勤時など混雑時にはなかなかエレベーターが来ない、乗っている時間が長いので地震などが起きると閉じ込められる可能性が高い、高層マンションには適している高速エレベーターはメンテナンス時には多額の補修費用が掛かるなどと、色々問題が多いようです。

ゴミ収集問題! 超高層マンションの毎日のゴミ出しは各階にゴミ収集所が設けられ、管理会社が集めに来るシステムになっているマンションが多いのですが、各階のゴミ収集所を設置せずに毎日1階にあるゴミ置場まで出しに行かなければならないマンションもあります。また、ゴミ収集時に管理会社が利用するエレベーターによって、その時間帯が各階停止になったり、エレベーター内の臭気、汚れなどのトラブルになっているケースもあります。

開口部の問題! 超高層マンションでは強風の時に窓が開けられない場合があります。特に高層マンションや高層ビルの乱立する地域ではビル風が凄く、場所によっては毎日風きり音に悩まされる事も有ります。当然、危険なので洗濯物などを外に干すことも難しいです。バルコニーのない場所の窓などでは、外から窓が拭けないので、管理会社に数カ月に1回程度、外窓の掃除を依頼する事になります。当然管理コストも掛かります。

生活音の問題!超高層マンションは建物全体の重量を軽減するために、特殊な工法(鉄骨スラブ等)を利用する場合が多く、本来のコンクリート床(2重鉄筋RCスラブ)や壁ではないために、上下左右の音が気が聞こえやすくなるという欠点も指摘されています。

揺れの問題!超高層マンションでは 地震の時や強風の日など建物が揺れ、不快な状態になる人もいるようです。最近は免震工法とか、地震の揺れを回避する方法である制震工法といって地震に対して建物を揺れないようにする工法などを採用する物件も多く、それぞれの利点や特徴が有りますが、免震工法、制震工法ともメンテナンス時(20年に1度位)には多額な費用が掛かる事になります。

漏水、雨漏り、避難経路の問題! 超高層マンションでは 建物の構造上、雨漏り、漏水などが確認されても原因が特定しにくく、修理が困難な場合があります。また、火災や爆発が起きた場合などでも、消防車は10階までまでしか届かないので避難者をヘリコプター,や特殊クレーンで屋上やバルコニーから救助する事になります。その場合はエレベーター使わず、階段も煙の状態を見ながら屋上や安全なバルコニーに避難するなど、日ごろのから避難にに対する訓練が必要になってくるでしょう。

 
地震被害のマンション特集↓



「耐震マンションに甚大な被害」
http://www.komei.or.jp/news/daily/2005/0330_07.html

「マンション亀裂、断水実態とあわぬ地震保険」
http://jcp-fukuoka.jp/special/earthquake/#050330

「中央区ではマンションの被害が深刻です。被害を受けたのはいずれも築5~7年」
http://jcp-fukuoka.jp/special/earthquake/report2.html



※ 最近姉歯建築設計事務所の構造計算書数値偽造事件で大問題になっていますが、あのような事件は氷山の一角であり、現場レベルの手抜き、コンクリートの等級を落とす等により実行予算の削減は多かれ少なかれ何処の建設会社でも行われている事で有ります。それが表に出ないだけで、問題になるかならないだけの話であって、そういう現場の施工誤差を見込んで危険率を盛り込んで設計時の構造計算をするのですが、その構造計算の数値自体を弄り、偽造する建築士が出てくるとは? 言語道断です。但しTV等で大々的にRC建築の問題点を露呈した問題提起と言う意味では良かったかもしれない。しかし元凶は日本の現在のコスト削減重視の姿勢であり、住民の安全性よりも売主の利益が優先されている不動産、建築業界の体質そのものが諸悪の根源です。今後こういう姿勢が改善されない限リ、次から次へと、こうした事件は起きる事が予想されます。

※消費者は賢くなり、消費対象物を選別する目を身に付けましょう。相場より安い
新築マンションは建築費も当然コストダウンしていると言うことです。特に新興のマンション元売業者は、建築業者に途方も無いコウストダウンを要求してきます。そんなマンションは要注意です。安物買いの銭失いにならぬようにしましょう。


驚くべきゼネコン↓の施工実態が赤裸々に綴られているHP↓如何にいい加減かわかります。
         
http://www.geocities.jp/fghi6789/kensetsu.html





毎日新聞HP
長周期地震動:高層ビルで重大損傷も 土木・建築学会研究

 巨大地震で発生する「長周期地震動」によって、名古屋市や大阪市では超高層ビルが大きく損傷する可能性があることが20日、土木学会と日本建築学会による合同研究で分かった。建物に設計の想定を大きく超える力がかかる危険性があるため。両学会は「個々の建物の耐震性を自らチェックし、適切な補強をしてほしい」と提言している。

 長周期地震動はカタカタと揺れる短周期の通常の揺れとは違い、周期2~10秒ほどのゆっくりとした揺れ。03年北海道十勝沖地震の際、苫小牧市で超高層ビルの設計基準を超える長周期地震動が観測されたが、未解明の部分が多い。このため、両学会が合同検討委員会を作り、超高層ビルや石油タンクなどへの影響を研究していた。

 超高層ビルについては東京、横浜、名古屋、大阪の計13地点に、30階と40階のビルが建っていると仮定し、コンピューターシミュレーションを実施した。名古屋市中区三の丸に30階建てビルが立地した場合、東海(静岡沖)・東南海(三重沖)地震の同時発生時に、15~20階の変形が通常の約1.5倍になり、ビルにかかるエネルギーも5~15階で約7倍に達することが分かった。倒壊は免れるものの柱と梁(はり)の接合部が切れるなど重大な損傷の恐れがある。

 大阪府内の2地点に40階建てのビルが立地した場合も、南海(高知沖)地震で周期5秒程度の揺れが通常の1.5倍になり、ビルにかかるエネルギーも1.5~2倍に達し、重大な損傷の可能性がある。残り10地点は「重大な損傷の恐れはない」との結果だったが、超高層ビルの中にはシミュレーションに使ったビルより強度の低い建物も少なくなく、外壁の落下などの損傷が生じる恐れがあるという。

 また、東京、三重県・伊勢、大阪湾に設置された石油タンクの一部は、05年に改定された基準を超える揺れに襲われ、油漏れによる火災発生の可能性がある。

 土木学会会長の濱田政則・早稲田大教授(地震防災工学)は「シミュレーションより大きな揺れが襲う可能性もある。エレベーターやライフラインにも被害が予想され、早急に補強などの対策をとるべきだ」と話している。【中村牧生】

毎日新聞 2006年11月20日 15時00分

失敗しない不動産購入術4
今まで誰も書かなかった事を書く
       高層マンションは危ない

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マンションの価値をを決める要素としては、

1.立地 駅からの距離が近いか?概ね5分~10分以内。但し繁華街は避ける。

2.管理の状態、管理組合がちゃんと機能しており、修繕がちゃんと行われているか?

3.一定の規模であるか。最低100戸以上(大規模修繕を行う時に費用分担がしやすい規模を有す)

以上がマンションの中古価格を形成する上でもっとも重要とされる3要素です。貴方の買おうとするマンションはこの3要素を満たしていますか?
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超高層建築物(20階以上の建物)に一番向いている工法は

1.SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)火災、地震にも経年変化にも強い。

2.鉄骨工法(高層建築に用いる場合は火災対策を厳重に鉄骨は火で直ぐ曲る)

3.RC(鉄筋コンクリート)超高層建築にはあまり向かない。

この順番である。

アルカリ骨材反応とは?

エフロレッセンス現象とは?

超高層マンションに住むにはそれなりのマナーや子供の躾を要す。

超高層マンションでベランダや窓から間違って物を落とした場合、風の強い日であればエスケイプゾーンを越えて物が落ちる場合がある。 偶然そこに人が居たら大事故になる可能性を覚悟しなければならない。

家族や子供が加害者にならない為に常日頃から注意深く子供に言い聞かせマナーや危険禁止事項の遵守を徹底させる。

又非常事態に備え(火事、地震その他)非難誘導路の確認、等を徹底させる。火事の時にはエレベーターや階段は煙突状態になり危険なので近づかない。

これ等の事柄を総合判断すると、住居には超高層マンションが如何に不向きで有るか?と言う事柄だけが目につきます。 マンションはせいぜい高くても10階までの高さの建物が良いと言うことです。住居は何時いかなる場合も安全で有ることが第一条件となるので、逃げ場の無い超高層マンションはやはり住居には適さないのです。



鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の診断、トラブル相談HP↓
 
東京建物診断共同組合HP